第10回 大学院生生活の、新鮮な毎日。人生って、ほんとうに不思議だらけ!
マルクス、ニーチェ、フロイト・・・
1学期を終えてみて驚いたのは、大学で勉強したことが何一つ無駄ではなかったということだ。
医療人類学といっても、社会学、人類学も学ばなければならないので、当然マルクスのおさらいもするし、哲学にも触れる。再びニーチェやフロイトを読むことになる。
理論の授業でエリアーデまで出てきたときは、本当にびっくりした。なーんだ、人生みーんな意味があるんだ。そうあらためて実感した。
母乳育児が政権によって変化?
『癒しと健康』と言う一学期の必須科目では、母乳育児がいかに、時代の政権によって、変化を受けるものかについてディベートをした。
私は英語がまだ上手く話せないので、ひたすら聞き手に徹するだけだが、学生同士のやりとりはなかなか面白い。
さすがに女性軍は盛り上がり、テンポよく発言していても、男子学生は会陰切開という単語すら知らない人も多い。しかし、戸惑いながらも、まっすぐな目線で質問し続けていた男子学生たちの多かったことが新鮮だ。
教授も、鋭い指摘にたじたじ
もうひとつの『健康と病理への社会学的アプローチ』のクラスでは、クラスメートのドイツ人の助産師さんや、スコットランド人の看護婦さんが、ものすごい迫力で授業をリードしていた。教授も彼女たちのお産に関する鋭い指摘にはたじたじだ。
今年の1月には、スコットランドに住むことも、ましてや勉強を再開することも、夢のなかにも思わなかった。それが12月には1学期の授業をすでに終えているだなんて、人生ってほんとうに不思議だらけだ。
知りたいことは、妊娠を通して見つかった
もちろん今の私は、駆け出しもいいところで、偉そうなことは何ひとつ言える立場ではない。けれど、もしかすると、自分の知りたいことさえ分かれば、紆余曲折はあっても、道とは自然とつながっていくものなのかもしれない。
私の場合、知りたいことは、妊娠を通して見つかった。つまり、娘が教えてくれたようなものだ。だからこそ、娘のためにも今学べることをしっかり学んでおきたいと思う。
この1年、本当にいろいろと考えさせられることが多かったけれど、表向きには挫折のようで、実は未来への確かな一歩になってくれていたり、一見華やかな出来事が、虚しく感じられることもあったり。
そして、それらすべてのことには意味があったのだと、今頃になってやっぱり私には思えてくる。
さあ、肩の力を抜いて、大きく深呼吸して、これからも自分を信じてゆったりマイペースで進もうっっと。
♪メリークリスマス & ア・ハッピー・ニューイヤー2007♪
次回のスコットランドからの「子育て便り」は、春のお届けです。お楽しみに!
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木村章鼓(きむら あきこ)
ドゥーラ(産婦とその家族を支援する女性、というような意味)有資格者。
2年間の課程を修了し、SBTA(スコティッシュ・バース・ティーチャーズ・アソーシエーション)認定、産前産後教育者としてバース・リソース・センターにて、妊産婦向けの講座を受け持つ。 エジンバラ大学大学院 医療人類学修士号取得。UK在住。
スコットランドはUKの一地方であり、独自の文化をもつ。 面積はイギリス全体のおよそ三分の一を占める。ケルト文明の影響も色濃く伝説や神話が豊かに語り継がれている。
街角やレストラン、空港などで、タータンチェックの民族衣装(プリーツスカート)を身にまとったおじさまが、重そうなバグパイプを肩から下げ、のっしのっしと 歩く姿はスコットランドならではの光景。
エジンバラは街全体がユネスコの世界遺産にも登録されている。「UK」(United Kingdom=連合王国)は、イングランド、スコットランド、ウェールズ およびアイルランドから構成されている。詳しくは、スコットランド総領事館のHP もしくは英国大使館のHPをご覧下さい。
