子育て:給食の中身、知っていますか?
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学校給食と子どもの健康を考える会 神奈川県支部 熊谷千秋

給食事始め

 「学校給食法」成立から半世紀

幼稚園、保育園、小学校etc.
毎日のランチはお弁当ですか?それとも給食?
子どもたちがお昼に何を食べているか、知っていますか?

「学校給食法」が成立して、今年の6月でちょうど50年だそうです。

小学校の給食に焦点を当てて、そこから子どもたちの食生活について考えてみましょう。

 戦後の食糧難時代

学校給食の事始めは、1889年(明治22年)、山形県鶴岡市です。お寺の境内に住職が開いた小学校で、貧しい子どもたちにお昼を出したそうです。メニューは、おにぎり・焼き魚・漬け物でした。

では、今のような給食が始まったのは?

そう、みなさんご存じの通り、戦後の食糧難時代ですよね。アメリカから援助された脱脂粉乳と小麦粉で、ミルク&パンの給食が全国的にスタートしました。そこには、「援助」の他に、実はいくつかの意味があったのです。


アメリカのねらい

 余った小麦をさばく

当時、アメリカはたくさんの余剰小麦を抱えていました。貯蔵には莫大な費用がかかります。そのはけ口を日本に求めたのです。それが、学校給食のパンでした。

 子どもの舌が覚える

それまで、日本人はパンやミルクをほとんど食べたことがありませんでした。でも、子どものころに毎日それらを食べ続ければ、てきめん、舌がなじみます。少しずつ、食習慣自体が変化しました。

主食がご飯ではなくパンになると、おかずも、いつのまにか、肉、卵、乳製品、油脂を多く使う洋風のものが好まれるようになります。これらは、すべてアメリカの主要な輸出農産物−−−小麦、大豆、トウモロコシの消費につながります。

 アメリカの輸出農産物をたくさん消費す

小麦はパンの材料だからわかるけど、豆は???

よく考えてみて下さい。家畜の飼料として、大豆やトウモロコシは大量に使われるのです。そのまま豆として食べる量など、比べものにならないくらい莫大なものです。とても贅沢な消費の仕方ですよね。

それに、豆は食用油の原料となります。油は洋食には欠かせません。


粒食から粉食へ

 パン食がすすめられた

1954年(昭和29年)に制定された学校給食法の趣旨説明でも、「(日本人の主食を)粒食から粉食に変える」ことが明言されました。そして、役人も、学者も、みんなでパン食をすすめたのです。こうして、アメリカのねらいは、みごとに成功しました。

 生活習慣病の原因に

その結果、米の消費量は半減、日本の食糧自給率は40%に落ち込みました。

そして、日本の伝統的な食文化が消え、肥満や、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病が欧米並みに増える、という皮肉な結果を招いたのです。


飽食の時代、「給食」の意味は?

 成長期の子どもたちにとって

「学校給食は1日3食のうちのたかが1食、年間全体では食事回数の1/6にしかならないじゃないか」という人もいますが、給食を侮ってはいけません。

成長期・味覚形成期の子ども達が、「教育」という名のもとに学校で食べる給食は、確実に家庭での食、そして将来の食生活に影響を与えます。

そのことは、パン給食で育った私達自身が一番身にしみて感じているのではないでしようか?

 健康を守る食習慣

はじめに書きましたが、学校給食の始まりは「欠食児童対策」でした。給食の初期の目的は、既に達成されたと言えるでしょう。

戦後から半世紀以上がたち、飽食の時代となりました。栄養の摂り過ぎが問題になっている今、給食の果たす役割とは一体何なのでしょうか?

それは、「日本人に合った、真に健康を守る食習慣を身につけること」すなわち「粉食から粒食に戻す」ことなのではないかと思います。


ご飯中心の食文化を次世代に伝える

 1000万以上の子どもたちが食べている

本来そういったことは家庭でなされるべきことだったのでしょう。

しかし、家庭の食自体がすっかり欧米化してしまった今となっては、学校給食が果たす役割は極めて大きいと言えます。

何しろ、全国1000万人以上の子ども達が食べているのですから。

 学校給食法に書いてあること

学校給食法には、その目標として「望ましい習慣を養うこと」「健康の増進を図ること」が明記されています。

つまり、学校給食の本来の意義は「ごはんを中心とした日本の伝統的な食文化」を次世代に伝えること、ではないでしょうか?

その重要な担い手として、給食の内容を大きく見直すべきときに来ているのではないかと思います。


パン給食のどこが問題なのか?

 「米あまり」現象と米飯給食

戦後の食糧難時代から30年、今度は「米余り」現象が問題となりました。それを受け、1976年より学校給食に米飯が導入されます。

しかし、週に2〜3回まで普及した時点で政府は十分と判断したのか、2000年度(平成12年度)には米の補助金が廃止されてしまいました。

今でも、全国のほとんどの小・中学校で、週に2〜3回のパン給食がなお続けられています。

ここで、パン給食がなぜ問題なのか考えてみたいと思います。

つづく
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著者自己紹介
学校給食と子どもの健康を考える会 神奈川県支部 熊谷千秋
息子が2歳のときに『学校給食と子どもの健康を考える会』と出会い、神奈川支部を発足しました(2001年11月)。様々な方達との出会いがあり、たくさんの仲間を得て、ここ神奈川でもあちこちに給食改善の兆しが見受けられるようになりました。「完全米飯給食」という最も肝要にしてシンプルなこの考えが、確実に浸透しつつあるのを日々感じ、とてもうれしく思っています。世界に誇る日本の素晴らしい伝統食を私達の代で決して絶やすことのないよう、家庭の食だけでなく学校給食で何ができるのか、この連載が、1人1人が考えるきっかけになれば幸いです。子ども達の健康のために、そして日本の未来のために・・・
◎神奈川支部 連絡先 chiaki.kumagai@nifty.ne.jp(熊谷千秋)

学校給食と子どもの健康を考える会
http://www8.ocn.ne.jp/~f-and-h/kyusyoku/
我が子の学校給食メニューのあまりのひどさに憤慨した幕内秀夫氏(管理栄養士・「粗食のすすめ」著者)が、1998年12月に発足。全国約10の支部で学校給食の完全米飯化目指して講演活動する傍ら、幼稚園や保育園の給食改善にも協力している。その結果、米飯回数が増えた市町村、園は相当数にのぼる。

幕内秀夫さん プロフィール
管理栄養士。フーズ&ヘルス研究所主宰。「粗食のすすめ」(東洋経済新報社・新潮OH!文庫)シリーズの著者。 山梨県の長寿村・ゆずり原の食生活に出会い、伝統食の研究を開始。医療機関での食生活相談や指導、食生活に関する講演活動や著作活動に携わっている。子どもの食生活を改善する活動の一環として「学校給食と子どもの健康を考える会」を発足させた。近著に「工藤公康 粗食は最強の体をつくる!」(三笠書房:1300円+税)、「病気にならない食べ方」(主婦の友社:1500円+税)、「ごはん美人のススメ」(大和書房:1400円+税)など。